動物の骨を蒸焼きにして炭化して作った黒顔料。アイボリーブラック(象牙黒)という名の顔料や絵具は、現在は骨炭が原料である。赤味の黒とされるが、焼成温度等によっても変る。骨はリン酸カルシウムが主たる成分であり、これを栄養として黴が発生しやすいと言われる。
素材の骨を入手する方法だが、本項では自分が使用する分の顔料を作るのを目的としたいので、それほど大量に買うわけではないと想定する。候補としては、スープの出汁用に売られている牛骨、犬のおやつように販売されている骨(偽物ではなく、牛のあばら骨をカットしただけのものが販売されている)などが考えられる。普段の食事の際に出た、鶏や豚の骨を溜めておくのもよいであろう。

骨は綺麗に洗い、さらにお湯で煮て脂を落としておく。写真の例では若鶏手羽元の生肉を調理し、食したあとの骨を取っておいた。骨は綺麗に洗ったあと、さらにお湯で2回ほど煮て脂を取り、しっかり乾燥させる。
象牙と比較すると、骨髄や脂、軟骨や肉の残渣などが付着していて、素材としての均質さに欠ける。骨の髄などを取り除いた方がよいかどうか考えてしまうが、一個一個の骨でそれをしていては時間がいくらあっても足りない。そのままでよいと思う。強い火力でしっかり炭化させたいところである。アイボリーブラックのページでは、カセット式ガスコンロとブリキ缶で焼いた。ここではダッチオーブンと薪を使用してみる。

骨はアルミホイルに包んで入れておく。さらに空気の出入りを押さえる為に蓋の縁もアルミホイルで包む。

オーブンを薪の中に包んで焼くようにする。しっかりと炭化するように数時間燃やし続ける。骨の焼ける臭いがするし、薪は煙が出るので、住宅街ではこの方法は無理かもしれない。燃料に炭を使った方が煙も立たないし、エネルギーの効率もだいぶよいのだが、炭を作るのに炭を燃料にしたら、はじめからその炭砕いて顔料にしてしまえばよいのではという気持ちにはなる。
焼き終わったあとに急いで取りだしてはならない。炭化した骨はまだ熱く燃えている状態なので、空気に触れると表面が灰になってゆく。

このように芯まで黒くなっていれば十分焼けたと思う。しっかり炭化しているとサクサクと割れて顔料にするのは楽な方だと思う。以降の工程は他の黒顔料とあまり替わりはないので割愛する。
骨の主成分はリン酸カルシウムである。しかし、リン酸カルシウムを焼くと黒くなるというのは以前から疑問であった。
上記のwebページによれば、「骨炭の主成分は、ヒドロキシリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト、HAP、[Ca 10 (PO 4 ) 6 (OH) 2 ])(70%~76%)、炭酸カルシウム(7%~9%)、非晶質炭素(9%~11%)であることが示されています」とされる。百科事典マイペディアの骨炭【こったん】においても「炭素含有量10〜15%」と説明がある。とすると骨炭の炭素含量は、その他のランプブラック(煤)、ピーチブラックなどの9割以上が炭素で構成されている黒と比較して極端に少ないといえる。そこから導き出せるのは、骨炭とは白いリン酸カルシウムの骨組みの中に染み渡っていた脂肪やコラーゲンが炭化して骨が黒く見えていたということになる。植物炭の黒が9割以上炭素であるのと大きな違いがあるといる。その為に透明度に高い軟らかな赤味の黒が得られているともいえるが、実際にさまざまの要素があって、それほど極端な着色力、隠蔽力の差があるようには思えないが、市販の骨炭絵具はもしかしたら混ぜ物で補われているかもしれない。

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