インディゴを得られる植物は世に数百種類もあると聞くが、インド藍(マメ科コマツナギ属)とタデアイ(タデ科タデアイ属)が代表格といえるだろう。ここではタデアイから染料を取り出し、沈殿藍または泥藍とも呼ばれる状態にし、さらに乾燥させた藍錠と呼ばれる固形状にするまでの流れを説明する。タデアイは発酵させてすくもという状態を作って活用することが多いが、絵画用途では藍錠にしておくのがよいかと思う。固形状にすれば保管や輸送もしやすく、砕いて顔料として使うこともできる。藍錠を元にレーキ顔料化して、より優れた顔料を作ることもできる。

含まれるインディゴの量、そして取り出しやすさはインド藍が勝るが、日本では気候的にタデアイが育てやすく、栽培から染色まで幅広い情報の蓄積がある。種も入手しやすい。4月頃種を蒔くと7~8月頃に一回目の収穫ができる。地面から10cmくらいの位置で刈り取り、タデアイを収穫する。再び伸びてくるので、年に2回収穫できるが、2度目はインディゴの量が減るという。
大量に生産する場合は細かなことは気にせず茎ごと発酵させるが、そうでもなければ葉をむしって使う。葉は丁寧に2度洗いして泥など落としておく。顔料として使用するのが目的なので、不純物として混入しそうなものはできるだけ早い段階で取り除いておく。

泥などが付いているかもしれないので、念のため水でよく洗う。布を染色する素材として使うならそれほど気にすることはないが、作った藍錠を顔料やインクとして使うことを考えると、泥は落としておいた方がよいと思う。
タデアイはプランターでも良好に育つ。1つのプランターから150~200gくらいの藍葉が採れるであろう。住宅街やワークショップ、授業等での取り組みを考慮して、本項ではプランターひとつ分の藍葉150gを想定して手順を解説する。顔料としての実用を考えると大きなバケツでできるだけ大量に作るのだが、はじめは適度な量で鍛錬を積むのがよい。

水の量は葉が浸かるくらいである。最小の量の例としては、葉が150gくらいであれば、2Lの水に入れる。葉が多いときは倍数していってもいいが、割合的には徐々に水の比率は小さくなっていっても、充分に水に浸かるのではないかと思う。

蓋をして2日半(夏は丁度2日)放置し、発酵させる。このとき、かなりの悪臭を放つが、タデアイからインディコを取り出すのに必要な工程である。水に緑から藍、またはエメラルド色が付き、ねっとりしてきたらうまく発酵している。発酵させる時間は大事であると思う。3日以上は放置しない方がよい。取り出すとにき、葉の一部が溶けてしまっているようでは遅すぎる。真夏を特に気を付ける。たまにバケツの蓋を開けてよく観察して判断するとよい。

ビニル手袋をして葉を取り出す。バケツの上で軽く絞って液を出してから捨てるとよい。このとき一部の葉が発酵が進んでいなかったとしても、もったいないと思わずに取りだして開始した方がいい。

そうしたら粗目の網で葉のカスなどを濾す。

次第に細かいフルイに替えて濾してゆく。フルイは一気に細かい目で濾すと詰まってしまうので、まずは150メッシュ、そして300メッシュというふうに変えてゆく。染料として使うならば、ここまで細かいフルイは必要ないが、藍錠を顔料として使用することも想定して、できるだけ有機物のカスを取り除いておきたい。この発酵した液体はpH5~6になっていることだろう。ここから先は随時、pHを測定しながら進めると、後々データとして役に立つ。pH測定紙はモノタロウのpH試験紙スティックタイプをお薦めする。

次に、水に消石灰を溶かしたものを用意する。粉末の消石灰をそのまま入れた方がはやくペーハーが上がりやすいが、消石灰粉末の大きな粒が混ざってしまうので、消石灰液にして使うことをお勧めする。ビーカー等に消石灰30gに対して水1000mlくらいを入れて十分にかき混ぜる。pH12位の石灰液を作っておく。

数分待つと大きな粉が沈んで、半透明な白い乳濁液ができるから、その上澄み液を投入する。より長い時間待てば溶けきらなかった消石灰が沈殿し透明な上澄み液も得られるが、おそらくであるが、多少のカルシウム分が入ったほうが安定した仕上がりになるような実感がある。入りすぎてもいけないが。また、足りなくなったときに慌てないように、多めに作っておくことをお薦めする。古い消石灰は開封して時間が経ったものは弱まっているかもしれないので、新しい消石灰を毎シーズン購入した方がいいのではないかと思う(余った消石灰は土壌改良か何か酸性の液体の中和に使うとよい)。1kg300円くらいで買えるものなので、新しくしておいた方が結果が安定すると思う。

消石灰液を少しづつ投入しながら、まずはペーハーを上げてゆく。少しづつ投入し軽く撹拌しながら様子をみる。徐々に加えながら混ぜていると泡立ってくると思う。pH10くらいまで消石灰液を投入してゆく。

その後は、ひたすら撹拌する。染液がより空気に触れるように意識してかき混ぜる。空気に触れさせ、酸化を促すのである。撹拌する時の道具であるが、私は百均で買った布団叩き棒を使っている。とてもよく泡立ち、空気に多く触れさせているという実感がある。

そのうち泡が青くなってきて、さらに撹拌するうちに泡が少なくなってくる。泡の色が白に近づいてゆき、すぐに泡がはじけて消えるようになったきたら、撹拌終了である。
そのまま1日置いておくと、若干緑色に濁った透明な水の底に藍が沈殿している。ただし数日かかるときもある。

上澄みの液を捨て、残った沈殿藍を集める。これを使って染料として染めるのであれば、そのまま、あるいは乾燥させて取っておけばよい。

沈殿藍を色材として使用するので、水で丁寧に洗っておきたい。そのままバケツでもよいし、別の容器に移してもよいが、綺麗な水を入れて軽く撹拌し、再び沈殿させる。水道水はカルシウム、マグネシウム、塩素などの不純物が含まれる。日本の水は軟水なので、大きな影響はないと思うが、気になるようなら、この洗いの工程は精製水を使うとよい。

沈殿には数日かかることもある。


フィルタで濾して水分を取り除き、乾燥させる。


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